犬の尿検査の結果でわかる10項目まとめ|検査キットは買うべき?

おしっこする犬 各種検査
lizzyliz / Pixabay

毎日、お疲れさまです。

 

今回は、知人の獣医師が「とっっても大切!」といって推奨する

【尿検査】についてまとめてみました。

 

興味があればお付き合いくださいませ。

 

 

尿検査の重要性について

各項目の説明をする前に、

なぜ獣医師が尿検査を推奨するのか説明したいと思います。

 

それには、まず腎臓の機能異常について知っていただく必要がありますが、

腎臓というのは非常に我慢強い(?)臓器で、

その機能が50%以下になったときでも無症状のため、

その腎臓の持ち主は病気になっていること、

すなわち、腎臓の機能が半分以上壊れていることに気がつきません

 

また、肝臓と異なり、腎臓は再生能力がありませんので、

一度破壊された細胞が再生することは二度とありません。

これはイヌもヒトも同じです。

 

そこで各種検査をして初期段階で異常を知ることが必要になってくるわけですが、

前にお話をした一般的な血液検査では、

腎臓の機能が4分の1になったときに初めて数値に異常が出てきます。

 

その時点で気づいて、それ以上の腎臓機能の悪化を抑制するためにアレコレしても

もはや保護すべき腎臓の機能は4分の1しか残っていません。

 

これに対して、尿検査では腎臓の機能が2分の1以下になった時点で数値に異常が出てきます。

 

ということは、そこで異常に気づければ、

腎臓の機能の2分の1が残った状態で腎臓の保護に努められるわけです!!

 

腎機能が2分の1残っているのか、はたまた4分の1しか残っていないのか。

再生機能のない腎臓にとって、この差はとても大きいです。

 

ということで、尿検査は腎臓障害の早期発見のために、とっっっても重要な検査であることを

みなさまにご承知おきいただければ幸いです。

 

以下、検査でわかる10項目について説明していきます。

少々長いですが、興味があればお付き合いくださいませ。

 

スポンサーリンク

潜血(OB)の数値からわかること

「OB」とは「occult blood」の略で、意味はそのまま「潜血」です。

文字どおり、尿中に血が潜(ひそ)んでいないかどうかを判断する項目です。

 

一般的に、尿潜血の状態では、見た目にはそれほど変化がありませんので、

肉眼で見て、その異常(OBの数値が基準値より高いこと)に気づくということは

非常に難しいと思われます。

 

ちなみに、見た目でわかるほど尿が真っ赤な色をしている状態は「潜血」ではなく「血尿」です。

 

異常があった場合、疑われる可能性のある病気や状態など

・溶血性疾患 ・急性/慢性腎炎 ・腎結石 ・腎膿瘍 ・尿管結石

・膀胱炎 ・膀胱結石 ・前立腺炎 ・前立腺腫瘍 ・尿道炎 など

 

尿比重(SG)の数値からわかること

SGとは、「specific gravity」の略で、これもそのまま「比重」という意味です。

 

尿比重とは、尿に含まれる水分と、水分以外の物質(老廃物)の割合を算出したものです。

 

数値が高い場合、体内に水分が少ないことを意味しており、

脱水などにより尿が凝縮されている可能性があります。

 

反対に、数値が低い場合は、体内の水分が多いことを意味しており、

体内の老廃物が尿として排出されていない可能性を示しています。

 

老廃物が尿として排出されていない場合、

腎臓の機能が低下していることが疑われます。

 

異常があった場合、疑われる可能性のある病気や状態など

【数値が高い(水分が少ない)】

・脱水 ・膀胱炎 /尿結石など

【数値が低い(水分が多い)】

・腎機能障害 ・糖尿病 ・副腎皮質機能低下症(アジソン病)など

 

グルコース(GLU)の数値からわかること

グルコースとはの名称で、別名「ブドウ糖」ともいわれます。

 

よく糖尿病との関係で問題になりますが、

腎臓の機能が正常であればグルコースが尿中から検出されることはないため、

腎臓機能の異常を知ることもできます。

 

が。

 

ここでひとつ注意しておかなければならないのは、腎臓ではなく尿管のほうに問題があって

グルコースの再吸収が上手くできないときにも尿糖が検出されてしまうことです。

 

ですので、尿糖がある場合には、あわせて血液検査をすることで血糖値を測定し、

いずれの箇所に問題があるのかを見極めることが重要になってきます。

 

検出された場合、疑われる可能性のある病気や状態など

【血糖値は正常値である場合(尿だけに糖が溶け出している)】

・腎性尿糖(尿管異常) ・腎障害 ・中毒 ・ファンコーニ症候群

・ストレス過多(一過性) など

【血糖値も異常値の場合(尿にも血液にも糖が溶け出している)】

・高血糖 ・糖尿病 ・糖尿病腎症 ・甲状腺機能亢進症 ・慢性膵炎 など

 

高血糖(糖尿病腎症)状態をそのまま放ったらかしにすれば、

「糖をろ過して体の外へ出す」という仕事をまかされている腎臓にたくさんの負担がかかります。

(さばく仕事(糖)の量が多くなれば、疲れるのは当然ですね)

 

腎臓は疲れてしまい、腎症は腎不全へと進行していきます。

いわゆるブラック企業状態です。可哀想な腎臓はフラフラです。

 

先に述べた通り、一度破壊された腎臓機能を再生させることは、

残念ながら現時点の医療技術では不可能です。

 

残っている腎機能を保護するためにも、

高血糖状態が判明した時点で適切な糖コントロールを行い

腎臓を保護してあげるようにしてください。

 

\ 目指せ、ホワイト企業!クリーン臓器! /

 

pHの数値からわかること

pHとは水素イオン指数を指し、尿が酸性なのかアルカリ性なのかを知ることができます。

 

一般的に正常値は5.5~7.5と考えられており、

これより数値が高ければアルカリ性尿低ければ酸性尿となります。

 

それぞれの場合、疑われる可能性のある病気や状態など

【数値が高い(アルカリ性尿)場合】

・アルカローシス ・遠位尿細管アシドーシス ・尿路感染症 ・膀胱炎

・尿路結石症の一部(ストラバイトなど) ・尿路閉塞 ・腎結石

・食事内容に植物性タンパク質が多い など

【数値が低い(酸性尿)場合】

・脱水 ・飢餓 ・糖尿病 ・尿路結石症の一部(シュウ酸カルシウムなど)

・尿路感染症 ・食事内容に動物性たんぱく質が多い など

 

いずれの場合でも結石ができやすいため注意が必要です。

 

また、食事内容からの影響も大きく、

植物性タンパク質をたくさん摂取している子ではアルカリ性尿になりやすく、

動物性タンパク質をたくさん摂取している子では酸性尿になりやすい傾向があります。

 

気になる方は普段食べさせているフードの内容も獣医師に伝え、

総合判断をしてもらうようにするといいかと思います。

 

スポンサーリンク

ケトン体(KET)の数値からわかること

通常、体の中でエネルギーを作り出す際には糖が分解されますが、

糖尿病になると糖がエネルギーとして分解されなくなります

 

とはいえ、エネルギーがないと体を動かせませんので、

かわりに脂肪酸がエネルギーとして分解されるようになってしまいます。

 

脂肪酸が分解されると、アセチルCoA(活性酢酸)という物質が

発生するのですが、このアセチルCoAから作られるのが「ケトン体」で、

脂肪酸を分解する際、肝臓で生成されます。

 

これが尿の中に排泄されることで数値が陽性に傾きます。

 

異常があった場合、疑われる可能性のある病気や状態など

・飢餓 ・絶食 ・糖尿病 ・ケトアシドーシス など

 

亜硝酸塩(NIT)の数値からわかること

尿の中には「硝酸塩」という成分が含まれているのですが、

膀胱内に大腸菌などの一部の細菌が入り込むと、

これが化学変化を起こし「亜硝酸塩」という物質に変化します。

 

ということで、亜硝酸塩の数値に異常がある場合、尿路の細菌感染が疑われます。

 

異常があった場合、疑われる可能性のある病気や状態など

・膀胱炎 ・尿路の細菌感染 など

 

この「亜硝酸塩」に関して注意すべきポイントは以下の3つになります。

 

すべての細菌に化学反応を起こすわけではないので、一部の細菌を見落とす可能性があること。
膀胱滞在時間が短いと亜硝酸塩を作る時間が足りず、細菌がいても陰性を示すことがあること。
尿を採取して時間が経過したものは、外的要因で細菌が混入している可能性があること。

 

ビリルビン(Bill)の数値からわかること

ビリルビンとは、赤血球などが壊れたときに生成されるもので、

別名「胆汁色素」とも呼ばれる黄色い色素のことをいいます。

 

健康な状態の時には血液中にはほとんど含まれませんが、

何からの異常があったときに血液中に漏れ出し、

こうして血液中に溜まったビリルビンが尿として排出されます。

 

陽性反応があった場合には、

血液検査と同じで肝機能胆嚢の障害が疑われることになります。

 

異常があった場合、疑われる可能性のある病気や状態など

・肝機能障害 ・胆管系疾患 ・溶血性疾患 など

 

スポンサーリンク

ウロビリノーゲンの数値からわかること

ウロビリノーゲンとは、ビリルビンが腸内細菌によって分解されたときに

発生する物質で、「±」〜「1+」が正常値とされています。

 

人間の尿検査ではしっかり調べられる項目ですが、

現在のところ、犬や猫の検査においては、臨床的意義はあまりないと考えられているようです。

 

尿タンパク(PRO)の数値からわかること

グルコースと同じく、腎臓の機能が正常であれば

タンパクも尿中から検出されることはありません。

ですので、尿タンパクが検出された場合には、腎臓機能が低下している可能性があります。

 

通常、「陰性」もしくは「1+」までは正常値と考えられていますが、

先に述べた比重(SG)との比較も重要で、

比重が低い(水分が多い)にもかかわらず「1+」の場合には、数少ない老廃物の中を、

たくさんのタンパク質が占めているということですので、

異常なタンパク尿である可能性もあります。

検出された場合、疑われる可能性のある病気や状態など

・腎疾患 ・尿路感染症 ・尿路出血 など

 

また、未去勢の男の子では精子が混入する場合もあります。

精子の混入でもタンパクの数値は上昇しますので、注意が必要です。

 

尿タンパク/クレアチニン比(P/C比)の数値からわかること

尿タンパクの説明は上記のとおりです。

クレアチニンとは、筋肉が運動するための重要なエネルギー源である

「クレアチンリン酸」の老廃物のことを指していいます。

 

尿P/C 比とは、尿中クレアチニン1g あたりに含まれるタンパク量をいいます。

 

腎機能が低下すると、

①尿中に含まれる老廃物(クレアチニンなど)の量が減り、かつ

②まだ使えるタンパク質を再吸収できずに尿として排出されてしまいます。

 

そのため、腎機能が低下すると尿中のクレアチニン濃度が減るとともに

タンパク質濃度が増加し、結果、尿P/C比が高くなるというわけです。

 

通常、これまでに説明したように、

尿の状態は食べた物などに影響を受けることが多々ありますが、

このP/C比はそういった要因による影響が少ないため、信頼性のあるデータが測定できます。

 

また、血液検査尿素窒素(BUN)やクレアチニン(CRE)の数値が高かったものの、

尿検査本項目(尿P/C比)が正常値であれば腎臓自体には問題がないことが

わかりますので(この状態を「腎外性腎不全」といいます。)、

血液検査でBUNなどの数値が高かった場合には、尿検査もすることをお勧めします。

 

異常があった場合、疑われる可能性のある病気や状態など

・腎疾患 ・腎不全 など

 

スポンサーリンク

自宅での尿検査キットは買うべき?

最近では、個人で尿検査ができるキットもたくさん販売されており、

自宅で簡易検査を行うこともできるようになってきました。

 

こうして愛犬の健康管理に対する認識が高まっていることは

とても嬉しいことなのですが、私自身は自宅での検査をあまりお薦めしません。

 

不要と考える4つの理由

多分、使い切れない

ほとんどが「100枚入り」と大量で、保管期間内に使い切れないと思います。

(ちなみに、『ウロペーパーIII‘栄研’』は有効期間2年間)

 

「自宅で尿検査をすれば診療費節約になります!」

なんて書かれていることが多いのですが、

保管期間内に使い切れなければ、かえって高くつくことにもなりかねません。

 

2年以内(730日)に100枚をひとりの犬さんに使い切るとするならば、

約7日に1度尿検査をする計算になります。

……ちょっと多すぎる気がしますね。

 

保管・管理が面倒くさい

保管・管理方法がけっこう細かいです。

もちろん、管理方法が悪ければ試験紙が変色して使えなくなります。

 

動物病院で行っても比較的安価

動物病院での尿検査は300円~500円と比較的安価で行ってもらえることが多いです。

(※動物病院によって違うのでご注意ください。)

 

結局、自分の検査は信じられない

結局、自分で検査したところで「でも、これ、正しいのかなぁ……」となるんですよね(笑)

 

結局、動物病院に検査しに行くことになるのであれば、

はじめから病院で行ったほうがいいんじゃないかな、と思います。

 

とはいえ、老犬で動物病院につれて行くのが困難だったり、動物病院が近くにないという場合には

自宅での簡易検査も愛犬の健康状態を知るうえで有用な方法かと思います。

 

まとめ

最初に申し上げたとおり、尿検査は腎臓機能の状態を知るうえで、非常に優れた検査です。

 

便検査と同じく、自然排尿法であれば犬さんの身体に負荷をかけることなくできますので、

かかりつけの獣医師と相談の上、保護者と愛犬にあった方法で適宜行っていただければと思います。

 

最後までお付き合い、ありがとうございました(´v`)

コメント