犬の血液検査でわかること|結果(27項目)の見方についての解説まとめ

各種検査

毎日、お疲れさまです。

今回は、血液検査の結果の見方についてまとめてみたいと思います。

尿検査や便検査と比べて検査項目が多いため、今回は結構長いです。

全体を読むのは大変だと思いますので、愛犬の検査結果で気になるところだけでもチェックしてみてください。

それでは、興味があればお付き合いくださいませ。

  1. はじめに
  2. 血液検査でわかること
    1. 血液を目視してわかること
    2. 赤血球数(RBC)・ヘモグロビン量(HGB)・ヘマトクリット(PCV)の数値からわかること
    3. 白血球数(WBC)の数値からわかること
    4. ▼白血球数(WBC)のより詳細な数値からわかること
      1. ①-ⅰ棹状核好中球(Band-N)の数値からわかること
      2. ①-ⅱ分葉核好中球(Segs-N)の数値からわかること
      3. ②好酸球(EOS)の数値からわかること
      4. ③好塩基球(BASO)の数値からわかること
      5. ④単球(MONO)の数値からわかること
      6. ⑤リンパ球(LYMP)の数値からわかること
    5. 血小板数(Plat)の数値からわかること
    6. 血清総蛋白(T-pro)の数値からわかること
    7. アルブミン(ALB)の数値からわかること
    8. グロブリンの数値からわかること
    9. A/G比の数値からわかること
    10. アラニンアミノT(GPT)の数値からわかること
    11. アスパラギン酸アミノT(GOT)の数値からわかること
    12. アルカリホスファターゼ(ALP)の数値からわかること
    13. (ガンマ) – グルタミルトランスペプチターゼ(GGT)の数値からわかること
    14. 総ビリルビン(T‐Bill)の数値からわかること
    15. 総コレステロール(T‐cho)の数値からわかること
    16. 中性脂肪(TG)の数値からわかること
    17. リパーゼ(LIP)の数値からわかること
    18. 血糖値(Glu)の数値からわかること
    19. 尿素窒素(BUN)の数値からわかること
    20. クレアチニン(Cre)の数値からわかること
    21. ナトリウム(Na)の数値からわかること
    22. カリウム(K)の数値からわかること
    23. クロール(Cl)の数値からわかること
    24. カルシウム(Ca)の数値からわかること
    25. リン(P)の数値からわかること
    26. クレアチニンキナーゼ(CK)の数値からわかること
    27. アンモニア(NH3)の数値からわかること
  3. まとめ

はじめに

以下、当該数値が正常値範囲内より増加している場合に主に疑われる原因と正常値範囲内より減少している場合に主に疑われる原因の可能性について記載していきます。

あくまで「その病気などの可能性(疑い)がある」というだけですので、血液検査の結果が正常値範囲外だったからとって、必ずしも該当する病気又は状態になっているというわけではありませんし、もちろん、ここに記載してあるもの以外の病気の可能性もあります

その旨、ご承知おきくださいませ。

血液検査でわかること

血液を目視してわかること

採取した血液を遠心分離すると、血漿・血小板・白血球・赤血球に分かれます。このとき、血漿の色が濃い黄色に変色していないかどうかで「黄疸」がないかがわかります。

赤血球数(RBC)・ヘモグロビン量(HGB)・ヘマトクリット(PCV)の数値からわかること

⦿赤血球数(RBC)……赤血球の数

⦿ヘモグロビン量(HGB)……赤血球に含まれる血色素

⦿ヘマトクリット(PCV)……血液中に存在する赤血球の容量の割合

3つの数値が増加3つの数値が減少
• おう吐、下痢などによる脱水
• ショックや興奮などの原因による血液濃縮
• 多血症(別名「赤血球増多症」。その名のとおり赤血球数が異常に多くなる病気)の疑い
• 心臓または肺の疾患
• 骨髄の疾患
• 貧血、出血など
• 薬物やたまねぎなどによる中毒性の溶血
• ビタミン不足
• 造血機能の低下
• 骨髄の疾患
• RBCの減少では腎臓病の疑い

白血球数(WBC)の数値からわかること

 

数値が増加数値が減少
• 興奮している、ストレスがかかっている 
• 中毒をおこしている
• アレルギー反応
• 体のどこかの組織が壊死をおこしている
• 体のどこかに炎症がおきている
• 別の病気の治療中の場合、薬の成分の作用
• ガン(腫瘍)※
• 白血病
• ストレスがかかっている
• 再生不良性の貧血
• ウイルス性の感染症
• 細菌感染による炎症
• 敗血症
• 別の病気の治療中の場合、薬の成分の作用
• 脾機能亢進症(何らかの原因で脾臓が腫れ、機能が異常に活発になる病気)減少では腎臓病の疑い

※ただし、一般的に動物病院で行なわれる血液検査では、仮に体内にガンや腫瘍があったとしても、血液検査の数値に異常が出ることはあまり無いそうです

血液検査の結果だけでは判断できない、ということですね。

また、白血球数(WBC)が減少している場合、緊急加療が必要な状態になっていることも多いとのことですので、注意が必要です。

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▼白血球数(WBC)のより詳細な数値からわかること

白血球は、

①好中球(NEUT)

{①-ⅰ棹状核好中球(Band-N)および①-ⅱ分葉核好中球(Segs-N)}、

②好酸球(EOS)、③好塩基球(BASO)、

④単球(MONO)、⑤リンパ球(LYMP)

の5種類から構成されています。

この「白血球」についてですが、ほとんどの病院で①~⑤を詳しくわけて記載するのではなく、「白血球の数」としてまとめて記載されているようです。

私の愛犬のかかりつけ医でも、過去のデータを遡ってみると、1年ぶりの健診の際など、前回の検査から時間があいた時だけ①~⑤にわかれた詳細な数値まで検査(記載)されていましたが、それ以外の定期検査の際には、白血球数のデータだけが検査(記載)されていました。

この①~⑤の数値まで調べるかどうかは獣医師の判断によるところなのかもしれませんね。

気になる方は、かかりつけの獣医師に尋ねてみられるといいかと思います。

①-ⅰ棹状核好中球(Band-N)の数値からわかること

数値が増加数値が減少
• 細菌感染、肺血症(臓器障害)など重度の感染症•  特になし

①-ⅱ分葉核好中球(Segs-N)の数値からわかること

数値が増加数値が減少
• ストレスがかかっている
• 細菌感染
• 急性膵炎
• 子宮蓄膿症
• ウイルス感染
• 敗血症
• 顆粒球減少症

②好酸球(EOS)の数値からわかること

数値が増加数値が減少
• 細菌感染
• 炎症をおこしている
• アレルギーをおこしている
• 寄生虫がいる
• 皮膚の疾患
• ストレスがかかっている
• クッシング症候群

③好塩基球(BASO)の数値からわかること

数値が増加数値が減少
• 慢性の炎症
• クッシング症候群
• 特になし

④単球(MONO)の数値からわかること

数値が増加数値が減少
• ストレスがかかっている
• 慢性の炎症
• 細菌感染
• 特になし

⑤リンパ球(LYMP)の数値からわかること

数値が増加数値が減少
• 細菌感染
• ウイルス感染
• リンパ性白血病
• 寄生虫がいる
• パルボウイルス感染症
• 免疫不全をおこしている
• 低カルシウム血症による痙攣

 

\ (……話、長いなぁ……) /
子犬

血小板数(Plat)の数値からわかること

血小板には、血管が損傷を受けた時に集合し、すみやかに傷口をふさいだり、止血したりすることでそれ以上の出血をふせぐ作用があります。

数値が増加数値が減少
• ストレスがかかっている
• 急性の出血
• 慢性の感染症
• 骨を損傷する外傷
• 血液凝固機能に障害がある
• 紫斑病
• 骨髄の障害、抑制
• 激しい出血
• 免疫疾患

血清総蛋白(T-pro)の数値からわかること

採取した血液を放置していると、赤い部分と薄い黄色の液体の部分にわかれます。

赤い部分は血球などの有形成分が凝固したもので『血餅』ともいわれます。(菱沼さん《©動物のお医者さん》が洗っていた部分ですね。ぺったぺった

で、上澄みの液体成分を『血清』といいます。

『血清総蛋白』とは、この『血清(上澄み)』の中に含まれている蛋白の総称のことを指します。

 

ん? 薄い黄色の部分って『血漿』じゃないの?って思った方います?

さすが鋭い。

血清は血漿からフィブリノゲン(血液凝固の第一因子)を除いたものです。ちょっと成分が違うんですね。またひとつ勉強になりました。

数値が増加数値が減少
• おう吐、下痢。それに伴う脱水
• ショック状態  • 高蛋白血症
• 感染症     • 腫瘍
• 消化、吸収不良    • 腎障害
• 栄養不良、栄養障害  肝障害
• 寄生虫がいる     • 敗血症
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アルブミン(ALB)の数値からわかること

炭水化物、脂質と並んで三大栄養素のひとつといわれるものに『タンパク質』があります。いわずとしれた、身体をつくる役割も果たす重要な栄養成分です。

アルブミンとは、血液中を流れるタンパク質のおよそ50~65%を占めるといわれる重要なタンパク質のことをいいます。体を作るほか、カルシウムやホルモンを運んだり、体液の水分量や濃度を調整する役割もあります。

肝細胞でしか作られないので、肝臓に異常があるとアルブミンが生成されず数値が下がります。

数値が増加数値が減少
• 脱水• 栄養不足、吸収不良、飢餓
• 寄生虫がいる   • 低タンパク血症
• ネフローゼ症候群 • 肝臓疾患(重度)
• 腎臓疾患 など

グロブリンの数値からわかること

グロブリンとは、血清中に含まれる二つ目のタンパク質です。

血清の中のタンパク質には、前述のアルブミングロブリンという物質が含まれています。

通常、低たんぱく症といえばアルブミンが減少していることが多いようですが、アルブミンが正常なのに低たんぱく症を起こしている場合、グロブリンの減少が考えられます。

アルブミン肝細胞で生成されるのに対して、グロブリンは、リンパ節や脾臓などのリンパ球で生成されます。

 

ということで、アルブミンが減少した場合、それを作り出す肝臓の障害が疑われますが、グロブリンが減少した場合には、それを作り出すリンパ組織の障害が疑われることになります。

グロブリンの増減は、それ単体で判断されるよりもアルブミンとの比率で診断されるケースが多いようです。

数値が増加数値が減少
• 肝炎
• 感染症
• 腫瘍
• 初乳摂取不良
• 免疫不全

 

\ (……やばい飽きてきた……) /

A/G比の数値からわかること

A/G比とは、「アルブミン/グロブリン比」の略で、前述のアルブミンとグロブリンの比率を測定した数値を指します。

 

A/G比の参考正常値犬猫とも0.45~1.19とのことですが、

① グロブミンが減少しているとA/G比は基準値より高くなり、

② グロブリンが増加しているとA/G比は基準値より低くなります。

【例】

① アルブミン 3 / グロブリン 2 = 3/2 = 1.5

② アルブミン 3 / グロブリン 10 = 3/10 = 0.3

基準値より高い基準値より低い
• 体調による影響  • 遺伝的なもの
• ネフローゼ    • 肝臓障害
• 栄養障害
• 体調による影響  • 遺伝的なもの
• リウマチ     • 多発性骨髄腫

 

7~9までが問題となるケースとしては、

ⅰ)アルブミンに問題があり、グロブリンにも問題がある場合

ⅱ)アルブミンに問題があり、グロブリンには問題がない場合

ⅲ)アルブミンには問題がなく、グロブリンに問題がある場合

の3パターンが考えられる、ということになりますかね。

 

仮にⅰ)のパターンで、アルブミンとグロブリンがともに高値となった場合(脱水症)、どうなるかというと「A/G比に変化はあらわれない」とのことでした。

診断結果がよくわからないという場合は、直接かかりつけの獣医師に尋ねれば答えてくださるはずです。

詳しいことは、きちんと獣医師に説明を求めるようにしてくださいね。

 

ちなみに、「グロブリン」及び「A/G比」は動物病院によって測定するところとしないところがあるようです。

わが家のかかりつけの動物病院では測定していません。

アラニンアミノT(GPT)の数値からわかること

「アラニンアミノT」なのに、なぜ略して「GPT」なのかというと、

近年、GOTはAST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)、GPTはALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)という名称に変更されつつあります。

参照:病院の検査の基礎知識(http://medical-checkup.info/)

ということらしいです。

グルタミン酸ピルピン酸トランスアミラーゼ(GPT)

= アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)

GPTないしALTとは、肝細胞に特に多く含まれる酵素をいいます。

肝臓の疾患などで肝細胞が破壊されてしまうと、これらの酵素が血液の中に流出してしまうため、数値が上昇してしまいます。

数値が増加数値が減少
• 急性及び慢性肝炎
(※急性肝炎で最も強く上昇する)
• 肝硬変    • 肝壊死
• 肝臓腫瘍   • ヒ素中毒
• 貧血     • 脂肪肝(肥満)など
• 特になし

アスパラギン酸アミノT(GOT)の数値からわかること

「GPT」と同じく、名前がふたつあります。

グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミラーゼ(GOT)

= アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)

GPTと同じくアミノ酸の合成に必要な酵素になります。

肝臓骨格筋などに多く含まれており、それらの細胞が破壊されてしまうことで血液中に流出し、数値が上昇します。

数値が増加数値が減少
• 急性及び慢性肝炎  • 筋炎
• 肝がん       • 肝障害
• 心壊死       • 筋肉壊死など
• 特になし

アルカリホスファターゼ(ALP)の数値からわかること

アルカリホスファターゼ(ALP)とは、リン酸化合物を分解する酵素で、主に肝臓胆道系小腸胎盤などに含まれています。

これらの臓器が破壊されてしまうことで血液中に流出し、数値が上昇します。

【修正しました】

アルカリホスファターゼ(ALP)とは、リン酸化合物を分解する酵素で、主に肝臓の細胞膜上に存在しています。その他、小腸胎盤にも多く含まれています。

肝臓で胆汁うっ滞(胆汁の流れが減少または停止した状態)などの排泄障害が起こると、ALPの生合成が誘導されて増加し、その結果、ALPの数値が上昇します。

また、骨、小腸、胎盤にも多く含まれることから、肝臓に問題はなくてもがんの骨転移などが原因で数値が上昇することもあります。

 

獣医師の方にコメントをいただき修正致しました。(2018.12.4)

 

実は、この数値、我が家の愛犬まろさんが異常に高いです。

基準参考値が【47~254】といわれる中、2017年9月7日の測定時のデータは【3528】。

でも、最近になって高くなったというわけでもなくて、3年6ヵ月前の2014年3月の測定時でも【2275】あるんですよね。

今年に入って肝臓を壊した際に、GPT・GGTと一緒に上昇。9月7日の測定でGPTとGGTは正常値に戻っていましたが、ALPだけは数値が高いまま……。

他の数値はどれも正常なので、様子見という状態が続いている感じです。

数値が増加数値が減少
• 肝機能障害    • 胆管閉塞
• 胆汁うっ滞    • 骨疾患
• 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
• 甲状腺機能亢進症 • 腫瘍
• 血中コルチゾール(外因・内因)【病気以外】
• 幼若犬/成長期
• 特になし

 

調べてみると、人間のデータですが以下のホームページをみつけました。

ALP高値は、必ずしも病気とは限りません。健常人でも血液型がBあるいはO型の人は食後にALP5が上昇することがあります。

また、新生児から思春期にはALP3が成人の3~5倍の値を示します。正常妊婦もALP値は上昇し、後期にはALP4が基準値の2~3倍になります。

さらに、閉経後の女性ではALP2と3の増加が認められます。これは、女性ホルモンレベルの変化が関係していると考えられています。

参照:高知大学医学部附属病院 よろず相談
(http://www.kochi-ms.ac.jp/~hsptl/kouhousi/yorozu/ban0424_3.html)

獣医師からは、ALPのみの高値はそんなに心配いらないといわれています。もしかすると犬でも血液型やホルモンが関係しているのかもしれませんね。

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(ガンマ) – グルタミルトランスペプチターゼ(GGT)の数値からわかること

γ(ガンマ) – グルタミルトランスペプチターゼ(GGT)とは、タンパク質分解酵素の一種です。

有毒物質を解毒する作用を持つ「グルタチオン」という物質があるのですが、GGTは、この「グルタチオン」の変換、分解などの調整を行うことのできる唯一の酵素といわれています。

肝臓や胆汁の中にあり、これらの臓器が破壊されることで血液中に流出し、数値が上昇します。

数値が増加数値が減少
• 肝機能障害
• 胆管閉塞
• 胆管系の疾患など
• 特になし

総ビリルビン(T‐Bill)の数値からわかること

ビリルビンとは、赤血球などが壊れたときに生成されるもので、別名「胆汁色素」とも呼ばれる黄色い色素のことをいいます。

生成されたビリルビンは血液にのって、まず肝臓にいきます。

そこで処理されるわけですが、この処理前の前のビリルビンと処理された後のビリルビンをあわせて総ビリルビンと呼びます。

(省略しますが、処理前後で名称が違います。)

そこから胆汁の一成分として胆嚢に貯蔵され、その後、便や尿に交じって排出されます。

健康時には血液中にはほとんど含まれず、数値が異常に高い場合には胆嚢や肝臓の障害などが疑われます。

数値が増加数値が減少
• 高ビリルビン血症   • 溶血性貧血
• 急性ないし慢性肝炎  • うっ血肝障害
• 肝硬変  • 肝臓がん • 膵臓疾患
• 膵臓がん • 胆管肝炎 • 胆嚢疾患
• 黄疸
• 特になし

 

\ …………………………………あ、聞いてる聞いてる /

総コレステロール(T‐cho)の数値からわかること

みなさんご存知、コレステロール。脂質の一種で全身に広く存在します。

基準値よりも高ければ高脂質、低ければ低脂質。これは、わかりやすいですね。

数値が増加数値が減少
• 糖尿病   • 甲状腺機能低下症
• 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
• 溶血    • 食事が高脂肪
• 胆管閉塞など
• 肝障害/肝疾患   • 甲状腺機能亢進症
• 副腎皮質機能低下症 • 吸収不良
• 食事が低脂肪    • 飢餓など

上の表の中で興味深いのが「甲状腺機能」と「副腎皮質機能」。コレステロール(T‐cho)が基準値より高い場合と低い場合がまったく逆になっています。

これはなぜかというと、甲状腺機能のケースだと、甲状腺ホルモンが活発になる(亢進する)と、脂肪がより多く分解されるため数値が減少し、ホルモンの働きが弱くなると、分解されにくくなるため数値が上昇する、というわけです。

 

また、副腎でつくられるホルモンはコレステロールから作られているのですが、これが脳下垂体の腫瘍または副腎の障害で分泌異常になることがあり、過剰に分泌される状態を亢進症、逆に分泌されない状態を低下症といいます。

コレステロールでできた副腎ホルモン(※コルチゾールといいます。)が過剰に分泌されている状態なのですから、当然、T‐choの数値は上昇します。

それぞれの働きを知れば納得ですね。

中性脂肪(TG)の数値からわかること

いわずもがな、皮下脂肪(いわゆる贅肉)のことをいいます。

生命維持に使用されなかったエネルギーの残りを、頼んでもいないのに体さまが貯蓄してくださったものです。

数値が低い=贅肉が少ない。逆もまたしかり、です。

数値が増加数値が減少
• 食事に含まれる脂肪の量が多い
• 胆管閉塞       • 肝障害
• 甲状腺機能低下症   • 糖尿病など
• 食事に含まれる脂肪の量が少ない
• 肝硬変
• 栄養障害など

リパーゼ(LIP)の数値からわかること

リパーゼとは、「コレステロール」や「中性脂肪」などの脂質を分解する酵素で膵臓に含まれています。

膵臓の細胞が破壊されるとリパーゼが血液中に流出し、数値が上昇します。

数値が増加数値が減少
• 膵臓障害
• 外傷など
• 特になし

血糖値(Glu)の数値からわかること

血糖値とは、その名のとおり「血の中に含まれるブドウ糖(グルコース)の値」をいいます。

血糖値が高い場合の代表的な病気が糖尿病になります。

数値が増加数値が減少
• ストレスがかかっている
• 糖尿病
• 慢性膵炎
• 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)など
• 膵臓がん
• 飢餓
• 副腎皮質機能低下症
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尿素窒素(BUN)の数値からわかること

不要になった血液は尿となって体外に排出されます。

すなわち、尿も不要になるまでは血液として体内を循環しているわけで、この血液の中の尿素に含まれる窒素分を尿素窒素といいます。

通常、尿素窒素は腎臓でろ過され尿として排出されますが、腎臓に障害があると十分に排出されず、再び血液中に戻るため、尿素窒素の数値が上昇することになります。

数値が増加数値が減少
• 脱水                • ショック状態
• 腎機能障害       • 腎不全
• 尿毒症             • 尿路閉鎖
• 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
• 消化管での大量出血   
• 心不全など
• たんぱく欠乏症
• 肝障害
• 門脈異常など

クレアチニン(Cre)の数値からわかること

「尿素窒素」の値とあわせて見られることが多いクレアチニンとは、筋肉が運動するための重要なエネルギー源である「クレアチンリン酸」の老廃物のことをいいます。

老廃物ですので、体外に廃棄しなければなりませんが、廃棄するには腎臓を通って尿として排出するしかありません。

老廃物であるクレアチニンの値が上昇している場合、正常に排出されていない、つまり「腎臓が正常に機能していないのではないか?」ということが疑われます。

数値が増加数値が減少
• 尿毒症
• 尿路閉鎖
• 腎機能障害
• 副腎皮質機能低下症など
• 特になし

ナトリウム(Na)の数値からわかること

ナトリウムとは、食塩から摂取されるミネラルで、体の水分保持・調整などの働きをします。

神経の伝達や筋肉の運動に深くかかわる電解質のひとつで、これら電解質の量を一定に保つのも腎臓の役目になります。

ですので、血液中のナトリウムの量に異常がある場合も腎臓の疾患が疑われます。

と、ここでひとつ注意点。

「尿素窒素」と「クレアチニン」は『数値の上昇=腎臓障害』というわかりやすい図式でしたが、ナトリウムはその逆。

つまり、血液中のナトリウム量が減少すると腎臓の障害が疑われるのです。

ん? なんで腎臓に障害があると、血液中のナトリウムが減るの? と思いませんか?

私は思いました。

で、ちょっと意味わかんなくて、調べてみました。

① 不要になった血液が腎臓に送られる。

② 送られた不要液が腎臓でろ過され、まだ使える分は血液となり、全身に戻っていく。

③ 本当に不要な分だけが尿となって排出される。

というのが排尿の流れですが、腎臓の機能が低下すると尿素窒素やクレアチニンは「②血液に溶け込み再び全身に戻る」ところ、ナトリウムは再吸収されずに「尿と一緒に排出されてしまう③」のです。

なので、血液中のナトリウムは希釈され(薄まり)数値が減少する、ということのようです。

どうしてなんでしょうねぇ。不思議です。

数値が増加数値が減少
• 糖尿病
• 高ナトリウム血症
• 溶血
• 下痢
• 尿崩症など
• うっ血性心不全
• ネフローゼ
• アジソン病
• 吸収不良
• 慢性腎機能障害
• 副腎機能不全など

 

\ ———ZZZZZ /

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カリウム(K)の数値からわかること

「ナトリウム」と同じく、電解質に含まれるカリウムは5大栄養素でいうミネラルに属します。

ナトリウムと一緒に血圧や細胞の浸透圧を調整していますが、ナトリウムは摂りすぎると高血圧になるのに対し、カリウムには血圧を下げる働きもあります。

通常なら過剰に摂取しても体外に排出されるため問題はありませんが、腎機能に障害がある場合、排出されるはずのカリウムが正常に排出されず体に蓄積されてしまい、様々な障害を引き起こす要因となります。

数値が増加数値が減少
• 副腎機能障害
• 溶血
• 循環不全
• ショック
• アジソン病など
• おう吐・下痢
• うっ血性心不全
• 腎不全など
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クロール(Cl)の数値からわかること

「ナトリウム」、「カリウム」と同じく、クロールも電解質成分のひとつのミネラルになります。

通常、血液中のクロールはナトリウムと並行して変化するため、ナトリウム濃度とのバランスで診断されます。ということで、クロールも数値が低い場合に腎臓の障害が疑われます。

数値が増加数値が減少
• 脱水
• 副腎皮質機能不全をともなう病気など
• 慢性腎疾患
• おう吐
• 利尿剤の作用など

カルシウム(Ca)の数値からわかること

「ナトリウム」「カリウム」などと同じくミネラルの一種になります。

骨や歯を作っていることは良く知られていますが、それだけではなく、抗アレルギー作用や精神安定作用、外傷をおった際に血液を固める役目なども持っています。

血中カルシウム濃度が高い場合に疑われるケースに「上皮小体機能亢進症」というのがあります。

これは、副甲状腺(上皮小体)が作る副甲状腺ホルモンという物質にある『血中カルシウム濃度が低下した際、骨に蓄えられたカルシウムを放出する』という機能が過剰に働いてしまう(亢進する)病気になります。

過剰に働く」=「カルシウムが血液中にいっぱい溶け出す」というわけです。

この副甲状腺ホルモンは、血中カルシウム濃度を上昇させるとともに、リン濃度を低下させる作用もありますので、診断の際は、リンの数値もあわせてみることになります。

数値が増加数値が減少
• 高カルシウム血症
• 腎不全
• アジソン病
• リンパ肉腫など
• 急性膵炎
• 低アルブミン血症
• 飢餓
• 膵臓疾患
• くる病
• 骨軟化症など

リン(P)の数値からわかること

無機リンも上記と同じくミネラルの一種で、生体中ではカルシウムの次に多い電解質になります。主に骨に存在し、軟部組織にも含まれています。

約60%が腎臓から尿として排泄され、残りは腸から便として排泄されます。

腎機能に障害があると正常に排泄されず、数値が上昇することになります。

数値が増加数値が減少
• 副甲状腺機能低下症
• 二次性上皮小体機能亢進症
• 腎不全
• ビタミンD過剰
• 一次性上皮小体機能亢進症
• 栄養障害
• くる病
• ビタミンD欠乏

クレアチニンキナーゼ(CK)の数値からわかること

名前は似ていますが、「クレアチニン」とは別物で、あちらが老廃物だったのに対し、クレアチニンキナーゼは、骨格筋、心筋などの筋肉や脳、子宮、腸管などに存在する酵素のことをいいます。

クレアチンホスホキナーゼ(CPK)と呼ばれることもあります。

数値が増加数値が減少
• 組織内出血   • 打撲
• 筋障害     • 心筋梗塞
• 中枢神経の障害 • 尿毒症など
• 特になし

アンモニア(NH3)の数値からわかること

腸管内や腎臓、骨格筋などで作られるたんぱく質の分解産物をいい、神経毒性をもつ物質です。

「神経毒!!」という感じですが、私たち動物の身体はお利口なので、アンモニアを毒性の低い物質(グルタミン等)に変換することができます。

変換された物質は肝臓に運ばれ、そこでさらに尿素に変換され、腎臓から尿となって排泄されていくのです。

ということで、血液中のアンモニア濃度が高い場合、肝機能の障害が疑われることになります。

数値が増加数値が減少
• 肝機能低下
• 肝機能障害
• 門脈シャントなど
• 特になし

 

\ あ終わった?もちろん!ばっちり聞いてたよあははっははは! /

まとめ

こちらに記載したデータなどは、あくまで素人が一般図書で得た知識をまとめたものです。

あるデータとあるデータを組み合わせると他の読み方ができたり、昔はそう考えられていたが、最新医療では異なる考え方をする、などといった場合も当然考えられます。

気になることは必ずかかりつけの獣医師に尋ねるようにしてくださいね。

 

では、最後に一言。

大切な愛犬が高齢になったら、1年に1度は血液検査を行い、病気の早期発見・早期治療を心がけましょう!

 

長くなりましたが最後までお付き合い、ありがとうございました(´v`)

コメント

  1. ALP
    これらの臓器が破壊されてしまうことで血液中に流出し、数値が上昇します。
    この記載は誤りだと思います。
    誘導酵素
    という言葉がキーワードです。

    • shiro より:

      あいペットクリニック稲毛獣医科 御中

      はじめまして。管理人の幸本と申します。
      このたびは丁寧なご指摘、誠にありがとうございます。
      ご意見を拝読し、素人なりに再検討してみました。
      御高覧いただければ幸いです。

      はじめに、私が本記事を書くにあたって参照いたしましたのは、
      「ニュートン別冊 70項目から見える病気のサイン からだの検査数値(2014年12月15日発行 発行所:株式会社ニュートンプレス)24頁・25頁」です。
      こちらの書籍には「ALP(アルカリホスファターゼ)も逸脱酵素の一つ」と記載してあり、安直に「ALP=逸脱酵素」と考えてしまいました。(当該書籍中にALPを誘導酵素とする記載はありませんでした)

      これを基礎に様々な情報を検索しました結果、
      1.ALPは逸脱酵素である。
      2.逸脱酵素は細胞自体の破壊などによって血液中に流出する。※1
      3.ALPは細胞自体の破壊によって血液中に流出する。
      という三段論法で上記の見解をまとめるに至りました。

      ※1参照サイト:[専門医の検査のはなし 10] 2004.02.01
      血液中の酵素を調べると何が分かるの?日本臨床検査専門医会  清島 満
      (http://www.jaclap.org/labo/labo-301-2.html)

      今回、ご指摘をいただき、教えていただきましたキーワードで再度検索をしてみたところ、
      「犬のASTおよびALT上昇症例における肝臓加水分解物配合サプリメントの臨床検討」
      についてまとめられた論文を発見致しました。
      (http://www.vmdp.jp/products/hepaact/pamphlet01.pdf)

      こちらの論文を拝読し、
      「ALPおよびγ-GGTは、肝細胞の毛細胆管を形成している細胞膜上に存在しており、肝内あるいは肝外胆汁うっ滞に伴って上昇する」
      という記載を確認致しました。
      すなわち、「ALPは、胆汁うっ滞に誘導されて(生合成が促進されるため)数値が上昇する」のであり、上記論文を基礎に再度まとめなおすと、
      1)ALPは主に肝細胞膜上に存在する(骨・小腸・胎盤にも多く含まれる)。
      2)ALPはリン酸化合物を分解する酵素である。
      3)ALPは細胞の破壊によって流出するのではなく、肝臓で胆汁うっ滞などの排泄障害があると、ALPの生合成が誘導されて増加し、その結果数値が上昇する。

      となり、これが先生の仰るキーワード【ALPは誘導酵素である】から導き出されるALPに関する正しい理解ではないかと推察致しました。

      ALPは誘導酵素であると同時に逸脱酵素でもあるようですが、別冊ニュートンは主に人を対象としたものであること、「犬のASTおよびALT・・・臨床検討」の論文は犬を対象としたものであること、何より獣医師(専門家)の方にご指摘をいただきましたことに鑑み、ALPの記載内容は上記の1)~3)のまとめを噛み砕いた内容に訂正させていただきたいと存じます。

      この度は、先生のご指摘のおかげで、とても良い勉強になりました。
      論文などを参照しているとは故、なにぶん素人がまとめておりますため、つたない部分が多々あるかと存じます。
      専門家の方からご指摘を(しかもご丁寧なヒントまで!)いただけましたこと、本当に有り難く思います。
      お忙しい中、的確なご指摘を本当にありがとうございました。

      幸本