毎日、お疲れさまです。
今回はAAFCO(2016)の栄養基準を参考にして、犬に必要なミネラルについて、まとめてみたいと思います。
以前にまとめたビタミンと同じく、ミネラルもとりすぎても不足しても良くないという、ちょっと面倒くさい栄養素。
手作り食に挑戦しようかなと思っている方など、お読みいただければと思います。
忙しい方のための三行まとめ
- 総合栄養食を与えているなら、ミネラルの過不足の心配はない
- AAFCO基準はペットフード用。手作り食も同じでよいとは言いきれない
- 持病がある・治療中の子などは絶対に自己判断で過剰に与えてはダメ
ミネラルとは
ミネラルとは、無機質ともいわれる動物の体の約5%を構成する元素で、糖質、脂質、タンパク質、ビタミンと並ぶ五大栄養素のひとつです。
動物の体内にはおよそ40種類のミネラルがあり、そのうち不足すると欠乏症が起こるものを必須ミネラルといいます。
現在のところ40種類のうち、以下の24種類が必須ミネラルとして認定されています(ただし、今後の研究で増える可能性はあります)。
多量ミネラル | 微量ミネラル |
---|---|
1)カルシウム | 8)鉄 |
2)リン | 9)亜鉛 |
3)カリウム | 10)銅 |
4)ナトリウム | 11)モリブデン |
5)塩素 | 12)セレン |
6)イオウ | 13)ヨウ素 |
7)マグネシウム | 14)マンガン |
15)コバルト | |
16)クロム |
その他、17)鉛、18)ヒ素、19)ケイ素、20)ニッケル、21)バナジウム、22)フッ素、23)スズ、24)リチウム
この24種類のうち、今回はAAFCOに基準の定められている11のミネラル※について解説していきます。
※今回、私の理解不足により【塩素】を除外しています。
総合栄養食・療法食を食べているなら問題ない
ビタミンのページでもお伝えしましたが、ミネラルについても、犬を育てているすべての方が注意しないといけない、というわけではありません。
ミネラルについて適量を守るよう気をつけなければならないのは、愛犬に手作り食を与えているご家庭、または、愛犬に時々手作り食(肉や魚)を与えているご家庭です。
総合栄養食あるいは療養食とパッケージに書かれたペットフードだけを与えているご家庭では、とくに気にする必要はありません。
総合栄養食のフードを適量摂取さえしていれば、ミネラル類の過不足が起こることはないように計算されているからです。
ただし、ペットフードだけしか与えていなくても、そのフードが「総合栄養食」でなければ各種ミネラル(その他の栄養も)の過不足が起こる可能性はありますので、ご注意ください。
数値の見方と計算方法について
はじめに、各数値の見方について説明します。
この計算方法はビタミンの解説でも記載していますので、すでにお読みいただいている場合には読み飛ばしてください。
*****
以下に記載した各種ミネラルの数値はすべて、代謝エネルギー1,000kcalあたり●●という表記をしています。
代謝エネルギーとは、口から摂取した総エネルギーのうち、便と尿として排出されたエネルギー分を引いたものになります。文字のとおりの身体を動かすためのさまざまな作用(代謝)に使えるエネルギーのことですね。
愛犬に必要な各種ミネラルの数値を求めるにあたって、愛犬の代謝エネルギー(うちの子は1日あたり何kcalのエネルギーが必要か)を知っておかなければなりません。
もし、この数値がわからないという方は以下のページに計算方法をまとめていますので、ご参照ください。
今はドッグフードを与えている、という場合にはパッケージに記載してありますので、パッケージをご覧ください。
このフードの場合、代謝エネルギーはフード100gあたり392kcalということがわかります。
このフードを1日に210g食べている子の場合ですと、1日あたり【392×2.1=823.2kcal】を代謝エネルギーとしてとっている計算になります。
今回は、このフードを食べている次朗くんのデータを使って計算をしていきます。
各種ミネラルのAAFCO(2016)栄養基準に定められた最小値/最大値
カルシウムについて
カルシウムの最小値
カルシウムのAAFCO(2016)栄養基準上の最小値は代謝エネルギー1,000kcalあたり1,250mgになります。
これを、次朗の例にしたがって計算すると、次朗に必要な代謝エネルギーは823.2kcalですので、(1,250×823.2)÷1,000=1,029。
次朗の場合は【1,029mg】ということがわかります。
カルシウムの最大値
カルシウムの代謝エネルギーの最大値は、体重によってちがいます。
- 31.751kg(70ポンド)以下の犬……1,000kcalあたり6,250mg
- 31.751kg(70ポンド)以上の犬……1,000kcalあたり4,500mg
最大値とは、一般的にこの量を超えると過剰症状を引き起こす可能性が高まる、という数値です。
次朗は10kgですので1.の基準が使用され、最大値は(6,250×823.2)÷1,000=【5,145mg】となります。
ただし、この数値はあくまで目安で、これを下回る量でも過剰症をおこす可能性もあります。
最小量が【1,250mg】に対して最大値は【6,250mg】と5,000mgも差がありますので、多少オーバーしても特段問題はないと思いますが、最大値を大幅に超えて「毎日10,000mgを摂取している」となると、以下のような過剰症を起こす可能性が高まります。
カルシウムの与えすぎには十分ご注意ください。
カルシウムの過剰症と欠乏症
過剰症 | 欠乏症 |
---|---|
骨の異常、泌尿器系の結石、マグネシウムや鉄などの吸収阻害 | くる病、骨軟症、骨粗しょう症、イライラなどの神経過敏、成長抑制 |
リンについて
リンの最小値
リンのAAFCO(2016)栄養基準上の最小値は代謝エネルギー1,000kcalあたり1,000mgです。
次朗の場合ですと、(1,000×823.2)÷1,000=【823.2mg】となります。
リンの最大値
代謝エネルギー1,000kcalあたり4,000mgが最大値で、一般的にこの量を超えると過剰症を起こす可能性が高まる、という数値です。
次朗の場合ですと、(4,000×823.2)÷1,000=【3292.8mg】となります。
リンの過剰症と欠乏症
過剰症 | 欠乏症 |
---|---|
骨粗しょう症などの骨の異常、軟組織の石灰化、副甲状腺機能亢進症など | 食欲減退、くる病、成長抑制、生殖機能の低下、骨軟症など |
※カルシウムとリンを与える際の注意点
カルシウムとリンを与える場合は、摂取されるカルシウムとリンの割合(バランス)に気をつける必要があります。
割合については、AAFCO(2016)によると最小値で1:1、最大値で2:1ということですので、カルシウム:リンの比率は1:1~2:1から大きく外れないようご注意ください。
カリウムについて
カリウムの最小値
カリウムのAAFCO(2016)栄養基準上の最小値は代謝エネルギー1,000kcalあたり1,500mgです。
次朗の場合ですと、(1,500×823.2)÷1,000=【1234.8mg】となります。
カリウムの最大値(設定なし)
一般的なペットフードで過剰になるほどカリウムが添加されることはないため、カリウムについては最大値は設定されていません。
通常の5~10倍のカリウムを摂取しても、健康な子では過剰な分は尿として排出されるため、血漿カリウム濃度は変わりませんが、慢性的にカリウム濃度が高い状態が続くと以下のような過剰症の危険も高まります。
最小値さえ満たせば「総合栄養食」基準を満たすことになるので、最大値設定はないにしても、最小値を大きく超えない程度になさるのがいいと私は考えます。
カリウムの過剰症と欠乏症
過剰症 | 欠乏症 |
---|---|
心疾患、心不全 ※腎機能が低下している場合、 高カリウム血症を起こす可能性あり | 不整脈、むくみ |
ナトリウムについて
ナトリウムの最小値
ナトリウムのAAFCO(2016)栄養基準上の最小値は代謝エネルギー1,000kcalあたり200mgです。
次朗の場合ですと、(200×823.2)÷1,000=【164.6mg】となります。
ナトリウムの最大値(設定なし)
AAFCO(2016)においては、ナトリウムの最大値は設定されていません。理由は以下のとおりです。
重篤な過剰症が出る前には嗜好性や摂食量が低下するとして設定されていません。

簡単にいうと、過剰症になるほどナトリウムの入ったものは、しょっぱすぎて食べられないため、わざわざ設定していないよ、ということです
過剰なナトリウムは腎臓に負担をかけますので、これもカリウムと同様、最小値をあまり超えない程度におさえるのがよいと思います。

ナトリウムの過剰症と欠乏症
過剰症 | 欠乏症 |
---|---|
飲水量の増加、むくみ、高血圧、 便秘、発作、最悪の場合、死亡するケースも | 疲労、脱毛、食欲減退 |
マグネシウムについて
マグネシウムの最小値
マグネシウムのAAFCO(2016)栄養基準上の最小値は代謝エネルギー1,000kcalあたり150mgです。
次朗の場合ですと、(150×823.2)÷1,000=【123.5mg】となります。
マグネシウムの最大値(設定なし)
AAFCO(2016)においては、マグネシウムの最大値は設定されていません。
AAFCO(2015)においては最大値860mgとされていましたが、これが外された形になります。
マグネシウムの過剰症と欠乏
過剰症 | 欠乏症 |
---|---|
リン酸マグネシウム型の尿結石 | 成長遅延、神経過敏、けいれん、 最悪の場合、死亡するケースも |
鉄について
鉄の最小値
鉄のAAFCO(2016)栄養基準上の最小値は代謝エネルギー1,000kcalあたり10mgです。
次朗の場合ですと、(10×823.2)÷1,000=【8.23mg】となります。
鉄の最大値(設定なし)
AAFCO(2016)においては、鉄の最大値は設定されていません。
AAFCO(2015)においては最大値857mgとされていましたが、マグネシウムとおなじく、これが外された形になります。
鉄の過剰症と欠乏症
過剰症 | 欠乏症 |
---|---|
食欲不振、血清アルブミン減少、 臓器に鉄が付着することによる機能不全 ※ただし、サプリメントを与えた、などということがない場合、通常の食事で鉄過剰症を起こす可能性は極めて低い | 軽度の欠乏症では無症状だが、重度になると鉄欠乏症貧血を呈する |
銅について
銅の最小値
銅のAAFCO(2016)栄養基準上の最小値は代謝エネルギー1,000kcalあたり1.83mgです。
次朗の場合ですと、(1.83×823.2)÷1,000=【1.51mg】となります。
銅の最大値(設定なし)
AAFCO(2016)においては、銅の最大値も設定されていません。
AAFCO(2015)においては最大値71mgとされていましたが、鉄などとおなじく、これが外された形になります。
銅の過剰症と欠乏症
過剰症 | 欠乏症 |
---|---|
過剰の場合は排泄されるため過剰症は起こりにくい。 ただし、銅過剰状態が亜鉛や鉄の欠乏症を 引き起こす可能性があるので注意が必要。 | 被毛の脱色、貧血、骨折、骨軟化症など |
マンガンについて
マンガンの最小値
マンガンのAAFCO(2016)栄養基準上の最小値は代謝エネルギー1,000kcalあたり1.25mgです。
次朗の場合ですと、(1.25×823.2)÷1,000=【1.03mg】となります。
マンガンの最大値(設定なし)
マンガンについては、AAFCO(2015)(2016)ともに最大値は設定されていません。
マンガンの過剰症と欠乏症
過剰症 | 欠乏症 |
---|---|
神経障害、パーキンソン病、血中コレステロール値の上昇など | 血糖値の上昇、発育遅延、平衡感覚不全、 骨や軟骨の退化(形成不全)、生殖機能の低下 |
亜鉛について
亜鉛の最小値
亜鉛のAAFCO(2016)栄養基準上の最小値は代謝エネルギー1,000kcalあたり20mgです。
次朗の場合ですと、(20×823.2)÷1,000=【16.46mg】となります。
亜鉛の最大値(設定なし)
AAFCO(2016)においては、亜鉛の最大値は設定されていません。
AAFCO(2015)においては最大値286mgとされていましたが、銅などとおなじく、これが外された形になります。
亜鉛の過剰症と欠乏症
過剰症 | 欠乏症 |
---|---|
貧血、嘔吐、食欲不振 | 皮ふ炎、貧血、脱毛、成長阻害、性機能障害、毛や骨の異常など |
ヨウ素について
ヨウ素の最小値
ヨウ素のAAFCO(2016)栄養基準上の最小値は代謝エネルギー1,000kcalあたり0.25mgです。
次朗の場合ですと、(0.25×823.2)÷1,000=【0.206mg】となります。
ヨウ素の最大値
代謝エネルギー1,000kcalあたり2.75mgが最大値で、一般的にこの量を超えると中毒症状を起こす危険が高まる、という数値です。
次朗の場合ですと、(2.75×823.2)÷1,000=【2.264mg】となります。
ヨウ素の過剰症と欠乏症
過剰症 | 欠乏症 |
---|---|
甲状腺肥大・機能低下、甲状腺腫 | 甲状腺肥大・機能低下、甲状腺腫 |
過剰、欠乏ともに甲状腺の異常(機能低下や甲状腺肥大)がおこり、その結果、甲状腺が腫れる甲状腺腫をおこすおそれがあります。
海に囲まれた島国である日本では、空気中にもヨウ素がただよっているため、欠乏症をおこす可能性は低いとのことです。
海藻などヨウ素を多く含む食材を与える場合には、過剰症にご注意ください。
セレンについて
セレンの最小値
セレンのAAFCO(2016)栄養基準上の最小値は代謝エネルギー1,000kcalあたり0.08mgです。
次朗の場合ですと、(0.08×823.2)÷1,000=【0.066mg】となります。
セレンの最大値
代謝エネルギー1,000kcalあたり0.5mgが最大値で、一般的にこの量を超えると中毒症状を起こす危険が高まる、という数値です。
次朗の場合ですと、(0.5×823.2)÷1,000=【0.412mg】となります。
セレンの過剰症と欠乏症
過剰症 | 欠乏症 |
---|---|
慢性症状として、疲労感、脱毛など 急性症状として、吐き気、悪心など | 動脈硬化、性機能減退など |
まとめ
今回はミネラルについてそれぞれの最小値、最大値をまとめてみました。
今回利用したAAFCO(2016)の基準はあくまでペットフードのための栄養基準であり、「手作り食でもこの基準値を守ってさえいれば大丈夫!」とまでは言いきれるものではありません。
ですが、手作り食を作るときの目安として利用していただく分には、とても参考になる基準だと思います。
だいたいの目安がわかれば、鶏肉のささ身だけではカルシウムとリンの比率が悪いことや、愛犬の身体にいいと思って与えていた海藻がヨウ素のとりすぎになっている可能性に気づくことも出来ます。
最後に繰り返しにはなりますが、以上の数値はあくまで健康な維持期の犬を対象にして計算された量です。
妊娠している子や高齢期の子などでは、個別に考える必要があります。
とくに内臓系統などに持病がある子の場合には、各種ミネラルを与えることで症状が悪化する可能性もあります。絶対に自己判断でサプリメントなどを与えることはしないようにしてくださいね。
最後までお付き合い、ありがとうございました('v')
・ミネラルの役割と要求量(その1)
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpan1998/5/2/5_85/_pdf)
・ミネラルの役割と要求量(その2)
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpan1998/5/3/5_128/_pdf)
・AAFCO2016年版における犬猫の栄養素プロファイル概要(後編)(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpan/20/1/20_64/_article/-char/ja/)
コメント
幸本さま
とても丁寧で詳しく、そして思いやりのある回答、ありがとうございました。
回答を読んでから改めてフードの保証分析値を見てみると「重量百分比」と書かれていました。たんぱく質3.4%以上ということは、200g入りなら200g×3.4%=6.8gと、単純に計算すればいいんですね。
あくまでも「~以上」や「~以下」となっているので、実際の数字を特定できないことはわかっていました。
実は質問を書いた後、「メーカーに問い合わせれば教えてもらえるのか?」と思い、ロイヤルカナンに問い合わせてみました。腎臓サポートウェットは、100kcalあたりのたんぱく質は3.2gと回答をいただきました。
100gで168kcalなので、100kcalは59.52g。
59.52g当たりのたんぱく質量が3.2gなので、100gあたりは5.38g。
つまり200gあたりなら10.76gになります。
分析値から計算した値は6.8gですから、大げさに言うと倍近いズレがありますね。
先にメーカーに確認すれば幸本さまのお手を煩わせることもなかったのに……と、書いたあとで少し後悔していたのですが、両方の回答をいただいたことで理解が深まりましたし、実際の数値と思った以上の差があることもわかり、本当に知りたいなら各メーカーに問い合わせるべきだということがわかりました。
ありがとうございます。
また、質問に対する回答だけでなく、付随して理解しておいた方が良い情報もたくさん添えていただき、本当にありがとうございます。
>> AAFCOの基準は「総合栄養食」と表示するためのもので「療法食」のための基準ではない
はい、理解しています。大丈夫です。
ご紹介いただいた参考サイトも目を通しておりました。
>> 慢性腎臓病の手作り食を作る際の注意点
ご指摘の4点を意識して作っています。
食品成分表も確認しながら挑戦しています。
>> 私からのアドバイス
大変参考になります。
ドライは、病院でいただいたサンプル3種を試しましたが、1種類だけ最初は食べたものの、その後はダメ。ほかのものと混ぜると、ドライフードだけでなく全部食べてくれなくなるので試すのが面倒になりました。いまは、体重が落ちて細くなりすぎていることもあり、しっかり食べてくれることを優先して手作りをしています。
『虫が飛ぶように、その一粒を顔の前でちらちらさせてみる』の成功率の高さに驚きました! 挑戦してみます。
『ここにこだわりすぎると、何も作れなくなっちゃいます』、その通りです。まさに実感しています。
フードはドライもウェットも含め、いろいろ取り寄せてみたのですが、含まれているたんぱく質等の量がわからないので、手作り食と組み合わせることでトータル的にどれくらい与えいるのかわからなくなるということが気になり、うまく併用できずにいました。
もともと皮膚アレルギーがあり、血が出るまで掻いてしまうこともしばしばだったのですが、最近はあまり掻きませんでした。いま思えば、それだけ体調が悪かったんでしょう……。ご飯を食べるようになったら、今度はまた掻くようになってしまい、腎障害の療養食を意識するだけでなく、アレルギーのことも考えなくちゃ!となると、あれもこれもとなって、ジレンマというか、破綻するというか。考えれば考えるほど混乱してしまいます。
幸い、食欲は戻ってきましたし体重も少~し増えてきたので、あまり考えすぎずに、「朝は療養食にしたら、夜は1日の摂取量の半分を目安にして手作りごはんを作ろう」という感じで、取り入れていきたいと思います。
本当にありがとうございました!!
Kenさんへ
こちらこそ、長々と書いてしまったコメントをしっかりお読みいただき、ありがとうございます。
私自身、メーカーに問い合わせをしたことはなかったので、そこまで数値に差があるとは思っておりませんでした。貴重な情報をありがとうございます。
アレルギー体質なのですね。それはますます考えちゃいますね。
わが家の愛犬も牛肉アレルギーでした。馬肉、鹿肉、羊肉などさまざま試しましたが、私自身が熊本在住のため、比較的馬肉が入手しやすくよく使用しておりました。
あとは「粉末状の乳酸菌」も食事にふりかけて食べさせていました。
今は、猫2頭と暮らしているのですが、うち1頭が慢性鼻炎のため、猫にも飲ませています。現在、私が使用しているのは「ハウス食品のL-137」の粉末です。
ヒトもそうですが、腸がきれいになると身体の状態がよくなるといわれていますので、便通をよくするため、朝と晩に湯冷まし(ぬるめの白湯)を飲ませる、おなかを「の」の字マッサージする、なども行っていました。
ちなみに、わが家の猫は4年前から腎臓が悪いのですが、①朝晩に白湯を飲ませる、②乳酸菌を飲ませる、③あまり食べない療法食ではなく、よく食べる市販の腎臓用フードに切り替える、をしたら、昨年末の血液検査でクレアチニンの数値が(2019年4月現在)2.14→1.61まで下がっていました。薬はとくに飲ませていません。
これだけしっかり考えて手作り食に挑戦していただき、本当にありがとうございます。
あまり考えすぎず、といわれても考えちゃうのが愛犬家ですものね。
お気持ち、すごくよくわかります。
最後に、ちょっと唐突ですが、とにかくたくさん愛犬を褒めてください。
褒めながら怒る、はなかなか出来ませんのでね、かならず笑顔になります。
Kenさんの不安や焦燥は、必ず愛犬に伝わります。
ストレスは添加物より身体によくないです。(愛犬にもKenさんにも)
たとえばトイレでおしっこをした、水を飲んだ、買い物中お留守番ができた、よく寝た、うんちをした、しっぽを振った、とにかく顔が可愛い、などなど。
褒めるたびに『ご褒美っぽく』療法食フードを手に持って食べさせてみるのもいいかもですね。
また、すでにお試し済みかもしれませんが、ウェットフードは温めると食欲が増す子もいるみたいです。
食欲が戻ってきたのであれば、これから少しずつ療法食フードも食べてくれるようになってくれるかもしれませんね。
これからもKenさんと愛犬が末永く穏かに過ごされますことを、心より祈念しております。
幸本
幸本さま
またしてもご丁寧なお返事、ありがとうございます。
使用しているものや行っていることを具体的にシェアしていただき、ありがとうございました。すごく参考になります。
アレルギーの原因はわかっていないのですが、ささみは大丈夫だったのに、鶏皮も含めて鶏もも肉をあげたあたりから、掻きが激しくなったように感じたので中止し、鹿肉をメインにしています。やめても掻いていますし、まだまだ分かりませんが、手作りしているこのタイミングで、少しでもわかればなと思っています。
発作を起こして調べたときは、クレアチニンの数値が出ていませんでした。測定不可だったそうです。1週間、自宅皮下点滴と薬、手作りごはんをした結果は4.0。そのまま継続で1か月の様子見の最中です。(フードでなければ)食欲はすっかり戻りました。体重も少しずつ戻っています。
白湯は飲ませたいのですが、皮下点滴をしているせいか水をまったく飲みません。食事は水を多めにして一緒に飲ませています。点滴の頻度が減ったら飲むと思うので、ぜひ試してみたいと思っています。
ツボを意識したマッサージはしていますが、お腹は毎日はやっていませんでしたので、やってみます! 私も腸は大事!には同感なので。
私も、飼い主の心が影響を与えると感じています。人間がいくら笑顔でいても、犬は人の奥にある真の気持ちを感じとれると。最初のころ、ビクビク点滴をしていたときは犬もおびえて力が入り、失敗も多かったですし。
たくさん褒めてあげたいと思いつつも、最近はまた怒るようになっちゃいました。弱ったときに甘やかしすぎたのか、私に対しては何か欲しいときに吠えるようになってしまったり、また掻き出してしまったりで。
子どものころから家には猫や犬がいましたし、この子とも10年以上一緒にいるのに、まだまだ学ばせていただくことがいっぱいです。
これからも、情報をチェックさせていただきますので、『ワンコト』の運営、がんばってください。
また何かお聞きしたいことが出てくるかもしれませんが、ひとまず、本当にありがとうございました!!
kenさんへ
励ましのお言葉、ありがとうございます。
改めて気を引き締め、今後もお役にたてる記事をしっかりまとめていきます。
保護者として御苦労もたくさんあると思いますが、あまりご無理なさらず、kenさんと愛犬が笑顔で過ごせる道を歩まれてくださいね。
また何かあれば、いつでもご連絡ください。心より応援しております。
幸本
わかりやすい情報提供、ありがとうございます。とても参考になります。
ミネラルについて、例えばリンなら0.4~1%と説明しているところが多い中で、1,000kcalあたりのmg数が書かれているのはすごく参考になりました。
愛犬が腎障害となり、腎臓サポート系のドッグフードを与えましたが、ドライは食べてくれず、ウェットもすぐに飽きてしまうようで、手作りと併用中です。
そのため、摂取量を考えて与えたいのですが、ドッグフードはパーセント表示がされていて、実際に何グラムの栄養成分(例えばたんぱく質)が含まれているのかがわかりません。いままで不勉強だったので、これが何に対してのパーセンテージかもわからずです。どのような計算をすれば、(100g当たりでも、100kcal当たりでもいいのですが)含有量が出せますか?
そもそも、AAFCOのパーセント表示も何に対してのパーセントなのかわからず……。情報を調べれば調べるほどわからなくなってきました。
アドバイスいただけると幸いです。よろしくお願いします。
Ken さんへ
はじめまして。管理人の幸本と申します。
以下、ご質問に回答申し上げつつ、私の意見を書いていきますね。
≫(手作り食を作るにあたって)どのような計算をすれば、(100g当たりでも、100kcal当たりでもいいのですが)含有量が出せますか?
ドッグフードの裏面にある成分表の見方が知りたい、ということでよろしいでしょうか。
パーセンテージが書かれているというのは、おそらく『保証分析値』のことかと思います。
そちらは重量百分比、つまり百分率→【基準とする全体を100とみなした時、そのうちのいくらに当たるかという割合】ですね。
すなわち、100gを基準とする場合、『100gのうち何%その成分が含まれていますよ』ということが書かれていることになります。
仮に、たんぱく質のところに20%以上と書かれていたとしたら、『このドッグフードには100g×0.2=20g以上たんぱく質が入っていることを保証しますよ』ということですね。
200g中なら200g×0.2=40g以上。
ただし、20%以上というのが21%なのか25%なのかまではわかりません。
分析値に関しても、例えば100kcalあたりカルシウム0.2gとあった場合、パッケージに書かれたカロリー含有量で計算すれば、100gあたりカルシウムが何g含まれるのか計算することは可能です。
【例】100gあたり390kcalのフードの場合、100kcalでは25.6gとなりますので、25.6gのフードの中にカルシウムが0.2g含まれる計算になります。
ただ、サイエンスヒルズの療法食は「乾物量分析値」として、完全に乾燥した(水分0%の)フードに残っている栄養成分を%にして表示しています。
今、私たちが手にしている(市販の)フードは水分(8.0%以下)が含まれている状態ですので、ここから「このドッグフードにどれだけの成分が入っているか」を正確に計算することは極めて難しいと思います。
細かい数字が知りたい、ということであれば、ロイヤルカナンの療法食の成分表を参照されると、だいたいの数字は把握できると思います。
≫そもそも、AAFCOのパーセント表示も何に対してのパーセントなのかわからず……。
AAFCOには「%表記」と「Kcal ME/㎏表記」がありますが、どちらで計算しても出てくる数値は一緒です。
混乱しちゃうのであれば、わざわざ「%」で求めなくても、当ページで用いている「Kcal ME/㎏表記」で計算していただいたらいいですよ。
例えば、カルシウムのAAFCO(2016)栄養基準上の最小値は、当ページに書いているように【代謝エネルギー1,000kcalあたり1,250mg】ですね。
仮に100gあたり390kcalのドッグフードの場合、1,000kcalでは256gになりますよね。
つまり、カルシウムはそのドッグフード256g中、少なくとも1,250mg(1.25g)入っていないと総合栄養食とはいえませんよ、ということです。
ここで注意すべきポイントは、AAFCOの基準は「総合栄養食」と表示するためのもので「療法食」のための基準ではない、ということです。
AAFCOの数値を満たしたから、腎臓や肝臓に優しいフード、というわけではありませんので、その点ご注意ください。
≫愛犬が腎障害となり、腎臓サポート系のドッグフードを与えましたが、ドライは食べてくれず、ウェットもすぐに飽きてしまうようで、手作りと併用中です。
慢性腎臓病の手作り食を作る際の注意点としては、
① タンパク質を減らす(→全体の15~20%くらい。100g与えるなら15g~20g)
② ①で減った分のカロリーを脂質と炭水化物で補う
③ ナトリウム(塩分)を多く含む食材を避ける
④ リンを含む食材を避ける
です。
ただ、正直、手作り食で登録療法食のようなバランスのとれた食事を作るのは難しいです。
※食材別の詳しいたんぱく質量などを知るには「食品成分表(1,500円くらい)」をご参照ください。たんぱく質量だけではなく、ナトリウムやリンの含有量(可食部100gあたり)も細かく記載されています。(普通の本屋さんで入手可能です)
※可食部…食品のうち食べられる部分
≫情報を調べれば調べるほどわからなくなってきました。
考えれば考えるだけ、あれも腎臓の負担になるのでは、これもよくないのではと考え、どうしていいかわからなくなるんですよね。
Kenさんの愛犬を思う気持ち、とてもよくわかります。
私からのアドバイスとしては、以下の4点です。
(1)ドライフードは食べないということでしたが、市販のすべての療法食は試されましたか。
もし、一種類しか試していないということでしたら、かかりつけの動物病院に相談してみてください。腎臓療法食のサンプルが置いてあることが多々あります。
あるいは近所のペットフード取り扱い店にも置いてあるかもしれません。
あるだけ全部のサンプルをもらってきて試してみられると、もしかしたら、これなら食べるというものが見つかるかもしれません。
それでもどれも食べないなら、例えば、リンの含有が比較的少ない鳥皮をカリカリに焼いて、はさみで細かく切ったものなどを、ふりかけとしてかけてみてはいかがでしょうか。
(2)食べない場合、一粒ずつ口元にもっていく、という方法をとることがあります。
そして虫が飛ぶように、その一粒を顔の前でちらちらさせてみると、食いついてくれる子もしばしば。成功率は85%くらいですので、一度試してみてください。
(3)それでも療法食はどうしても食べない、ということであれば、上記①~④を考慮しながら、手作り食を作ることになります。
ロイヤルカナンの療法食に細かめに成分は載っているので、そちらを参考にされると比較的計算はしやすいかと思います。
ただ、実際に、その数値に当てはめて料理を作ろうとすると、「これを足すと○○がオーバーする! これを引くと△△が足りない!」という状態になります。必ず。
療法食を同じレベルのビタミンやミネラルを手作り食で厳密に再現することは、ほぼ不可能です。ここにこだわりすぎると、何も作れなくなっちゃいます。
ひとまず上記①~④だけを考えて作ってみてください。
(4)食事療法で一番大事なことは「継続」して「愛犬が食べてくれる」ことです。
療法食にしろ、手作り食にしろ、愛犬が食べ続けてくれなければ意味がありません。
あまりギチギチに数字にとらわれず、
「朝は療法食だったから、昼は手作り食をあげてみようかな」
「今日は時間があるから、療法食一粒チャレンジしてみようかな」など、
保護者も愛犬も無理せず継続できる食事管理をしていってくださいね。
最後に。
腎臓は大切な臓器です。
しかし、心臓も、肝臓も、肺も、その他すべての臓器も同じくらい大事です。
「腎臓を守ることだけ考えていて、食べ物を制限した結果、他の臓器が弱くなってしまった(あるいは体重が激減してしまった)」では本末転倒。
もし、どうしても食べないときは、療法食にこだわらず何でも食べさせてみてください。
食欲が戻ってきたら、また療法食に切り替えればいいんです。
Kenさんの愛犬がしっかりご飯を食べてくれることを、心より祈っております。
幸本
下記はペット栄養に詳しい獣医師のブログです。
とても分かりやすいですので、ご参考いただければと存じます。
▼Rペット栄養クリニック 清水獣医師のブログ
https://www.r-nutrition-petclinic.com/post/2017/11/20/aafco%E9%A4%8A%E5%88%86%E5%9F%BA%E6%BA%96%E3%82%92%E4%BD%BF%E3%81%A3%E3%81%9F%E6%89%8B%E4%BD%9C%E3%82%8A%E9%A3%9F%E3%81%AE%E8%A8%88%E7%AE%97%EF%BC%91?lang=ja