5点でネグレクト確定!愛犬家に知ってほしい判断指針(TACC)について

動物虐待

毎日、お疲れさまです。

さて、前回は動物虐待を見つけたときの通報の仕方などをまとめました。

今回は、その続きともいえる内容になりますが、『動物のネグレクトの判断指針』についてまとめていきたいと思います。

興味があれば(いや、今回は興味がなくても)お読みいただければ幸いです。

はじめに

さて、前回の内容で「あなたの通報で助かる命があるかも」と記載いたしました。

もちろん、それは事実なのですが、いざ警察に通報しようとすると「なんだか怖くなってやめちゃった……」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

保健所にしろ警察にしろ、他人を通報するのですから、これは勇気がいりますよね。

実際、殴る、蹴るといった積極的虐待を見ているのであれば通報しやすいのですが、世話をしない、掃除をしないといった消極的虐待は虐待の事実が目に見えにくいので虐待に該当するのか否かの判断が難しいところではあると思います。

そこで、今回はネグレクトの客観的判断指針であるAmerican Humane Assosiation(AHA)が、1997年に発表したタフツ・アニマルケア&コンデイション尺度(通称TACC)についてご説明したいと思います。

このTACCの①~④の各項目でひとつでも5点以上に該当するような犬がいた場合、その子は「すぐさま保護しなければならない危機的状態」にあり、これは【動物の愛護及び管理に関する法律】の【第四十四条の2】に違反する明らかな違法(犯罪)行為です。

犯罪行為を通報するのですから、もちろん通報者に非はありません。

ですが、どんなに正しい行いだとしても、個人が直接抗議しにいくと2億%もめます

本当に危険ですので直接抗議はせず、保健所もしくは警察(プロ)に任せてくださいね!

前回のブログでも書いたように、通報者の秘密は守られます

通報の際、くじけそうになったら、このことを思い出してください。

身体的状態の尺度

痩せ衰え、やつれている状態

・一目で骨が突出した状態が分かる。
・体に脂肪がついていることが認められない。
・筋肉の質量が激減していることが明らかに認められる。
・著しい腹部のくびれと砂時計型の身体。

5
著しく標準体重を下回っている状態

・肋骨、腰椎、骨盤が見ただけで容易に確認できる。
・触って確認できる脂肪がない。
・多少の筋肉の質量の減少。
・目立った腹部のくびれと胴まで続いている砂時計の身体。

4
やせている状態

・腰椎の表面が目で確認でき、骨盤が目立ちはじめている。
・肋骨は容易に触って確認できる。もしくは触れずに見るだけで確認できる。触っただけでは脂肪がついていることは確認できない。
・胴と腹部がくびれているのが明らかである。
・筋肉の質量のわずかな減少。

3
標準以下の体重でやや痩せている状態(猟犬のような体の細い犬種では標準)

・最小限の皮下脂肪。肋骨には容易に触れることができる。
・腹部のくびれが確認できる。
・ウエストが上から見たときにしっかり確認できる。
・筋肉の減少はない。

2
理想的な状態

・余分な皮下脂肪はついてない、肋骨に触れられる。
・側面から見たときに、腹部が少しくびれている。
・上から見ると、肋骨の後部にウエストが確認できる。

1

※各項目のうち、すべてに該当する必要はなく、どれかひとつでも当てはまるものがあれば可。

気候における安全性の尺度

TACC

犬にとって安全な気温と危険な気温(表の見方)

縦軸はプラス気温(夏)、横軸はマイナス気温(冬)です。

「1」が適温を表しますので、

小型犬だと「冬は約15℃以上~夏は約19.5℃以下」が、

大型犬だと「冬は約6℃以上~夏は約15.6℃以下」

がそれぞれ適温といえます。

反対に、ネグレクト要件となる数値「5」に該当する気温は、

小型犬だと「夏(約29℃以上)・冬(約-4.5℃以下)」、

大型犬だと「夏(約26.7℃以上)・冬(約-9.5℃以下)」

となります。

安全な気温危険な気温
小型犬夏:約19.5℃以下

冬:約15℃以上

夏:29℃以上

冬:-4.5℃以下

大型犬夏:15.6℃以下

冬:6℃以上

夏:26.7℃以上

冬:-9.5℃以下

ただし、ネグレクト判定を行うためには、

常識をもって、犬がその気温にさらされた時間を十分に考慮した上でリスク・アセスメント(※危険評価)を行なうこと。

ということですので、たとえば、大型犬を24℃の日差しの元に1日中放置すれば、点数的には3、4点ですが、ネグレクトに該当する可能性は十分あります。

点数が加減算される要件

以下の各条件下で点数が加算もしくは減算されます。

たとえ上記の表で「4点」でも以下の加算項目に該当するものがあれば、追加で「+1点」され、ネグレクトに該当します。

反対に減算項目に該当すれば「-1点」となります。

暖かい、もしくは暑い場合の加算条件

・水が飲める状態であれば1点引く

・犬が日陰にいて、直射日光から守られている状態であれば1点引く

・犬が短頭症であれば1点足す

・犬が肥満状態であれば1点足す

涼しい、もしくは寒い場合

・小型犬であれば1点足す

・雨、みぞれに犬がさらされている状態であれば2点足す

・北国の犬種もしくは毛深い犬種であれば1点引く

・適切な犬小屋と寝床があれば1点引く

・寒い気候に順応した犬である場合は1点引く

すべての気候において

・水が月齢6ヶ月以下の場合もしくは高齢犬の場合は1点足す

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環境状況の尺度

劣悪な状態

・糞尿が何週間分もたまっている。
・呼吸が困難な悪臭(アンモニア濃度による)。
・大量のごみで動物が通常の姿勢を保てない、リラックスした姿勢がとれない。
・動物の身に危険が及ぶような状態。
・動物が糞尿、泥、よどんだ水と接触回避が不可能。
・餌と水は汚染されている。

5
非常に不衛生な状態

・糞尿が何日分もたまっている。
・呼吸するのが不愉快な悪臭。
・動物の動きを妨げる程度のごみ。
・リラックスした姿勢を妨げる。
・動物が糞尿と接触回避が困難。
・とがった物やガラスで動物が傷つく可能性がある。
・水溜まりや泥を回避することが困難。

4
不衛生な状態

・糞尿が何日分もたまっている。
・動物は糞尿との接触を回避できる状態。
・匂いは多少気になる程度。
・ごみはあるが、動物がリラックスした状態で休めており、通常の姿勢を妨げない。

3
最低基準ぎりぎりの状態

・1~2日以下の糞尿がたまっている。
・多少散らかっている。
・リラックスした姿勢で休むこと、通常の姿勢を保つこと、動物の動きを妨げない、動物に害を及ぼすようなものが環境に存在しない。環境は乾燥しており、餌と飲み水は汚染されていない。

2
許容できる衛生状態

・乾燥して糞尿のない状態。
・リラックスした姿勢で休むこと、通常の姿勢を保つこと、動物の動きを妨げない、動物に害を及ぼすようなものが環境に存在しない。環境は乾燥しており、餌と飲み水は汚染されていない。

1

※各項目のうち、すべてに該当する必要はなく、どれかひとつでも当てはまるものがあれば可。

身体的なケアの尺度

劣悪な状態

・毛玉と汚れで著しく不衛生、そのため通常の動作や視界が妨げられている状態。
・会陰部に糞尿がたまり、ただれている。
・毛が一枚のマットのように繋がっている。
・毛を完全に切ってしまわないとグルーミングできない。
・毛玉の中にゴミが引っかかる。
・爪は伸びすぎにより曲がっており、肉球を傷つける。
・そのため足が正常な位置に納まらず、歩行が困難で苦痛。
・首輪やチェーンをつけている場合、首に食い込んでいる。

5
不健康な状態

・毛玉がたくさんあり、くしやブラシで絡み合った毛を元に戻すことは不可能。
・糞尿で会陰部がただれている。
・毛玉の中にごみ。
・毛をかなり切らないと毛玉を排除できない。
・長く伸びた爪で足が正常な位置に納まらず、通常の歩行の妨げになる可能性がある。
・首輪やチェーンをつけている場合、きつく皮膚がすれている。

4
ボーダーラインの状態

・毛玉はたくさんあるが、毛を完全に切らなくてもグルーミング可能。
・会陰部に糞尿はたまっていないし、ただれもない。
・爪はしばらく切られていない状態にあり、歩行に影響がある場合がある。
・首輪やチェーンをつけている場合、少しきつめで首の毛をすり減らしている可能性がある。

3
世話を多少怠った状態

・毛は多少汚く、少し毛玉もあるが、すぐに元に戻せる。
・ブラシやくしでグルーミングができる。
・爪は多少切る必要がある。
・首輪やチェーンをつけている場合、その長さはちょうどいい。

2
適切な状態

・清潔で毛もその犬種に適した長さ。
・ブラシやくしがすっと通る。
・爪は床に触れない、もしくは床すれすれの長さ。
・首輪やチェーンをつけている場合、その長さはちょうどいい。

1

※各項目のうち、すべてに該当する必要はなく、どれかひとつでも当てはまるものがあれば可。

各尺度からのTACC得点の解釈

スコア身体的状態、身体的ケア及び環境状態の尺度気候の状態の尺度
5以上著しいネグレクトと非人道的な扱い。動物を保護するべく積極的に動かねばならない、危機的状況。生命にかかわるリスクが存在する。リスクを軽減するために、すぐさま介入が必要な状態(飲み水や寝床の確保)。
4重度のネグレクトか非人道的な扱い(もしくは両方)の痕跡が明らかにある。(ただし、動物の状況に関しては、獣医学的な理由がある場合を除く。)早急な改善が必要な状況。危険な状態になりつつある。リスクを軽減するため、早急な介入が必要(飲み水、日陰、寝床の確保、もしくは室内飼いにする)。飼い主に対して、リスクの警告を行い、必要な環境について説明する。
3ネグレクトの指標が存在する。時宜にかなったアセスメント(※評価・査定)、改善化、状況のモニタリング(もしくはこの全て)が必要な状況。犬種、時間帯、外飼いであるか否かにより、危険につながる可能性がある状況。飼い主に対して、リスクと必要な環境について啓発する。
2世話を多少怠っているか、何らかの理由で動物にとって居心地の悪い状況。適切に評価し、飼い主と注意点について話し合う。必要であれば、飼育方法の改善について助言を行う。リスクは低いが、状況を評価し、必要であれば、注意点や適切な環境に必要な点について飼い主と話し合う。
1尺度をベースとした結果においては、ネグレクトが行われている痕跡はない。リスク要因はない。

最後に

TACCで求められた得点が低くても、虐待やネグレクトと判断されることもあります。

この診断はあくまでも目安であり、動物そのものや、その飼育環境などを詳細に観察した結果、当該動物を保護すべきと判断されることもあります。この診断の結果をもって100%の判断をするものではないことはご理解ください

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これからまだまだ暑い日が続きます。

あなたのまわりに、灼熱の炎天下、つなぎっぱなしにされている子はいませんか?

干上がった水入れを必死になめている子はいませんか?

ひとりでも多くの子が、ただ生きることで苦しみませんように。

 

最後までお付き合い、ありがとうございました。

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