ソルビン酸/ソルビン酸カリウム

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ソルビン酸は不飽和脂肪酸の一種。

「水と油」という言葉もあるとおり、脂肪は水に溶けにくい。

 

そのため、水に溶けやすく加工したものが「ソルビン酸カリウム」であり、

ソルビン酸よりもソルビン酸カリウムの方が水に溶けやすいというだけで、

基本的には同じものと考えてよい。

 

細菌やカビの発生を抑える働きがあるため、主に保存料として使用される。

 

 

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「ソルビン酸は危険な添加物」とするご意見があったので、自分なりに調べてみました。

以下、自分の考えは一旦横において論拠だけを記載していきます。

 

日本の食品安全委員会の評価

まずは、【日本の食品安全委員会】がソルビン酸について、どのような評価をしているのか

見ていく。

ソルビン酸及びその塩類の安全性試験成績を評価した結果、発がん性は認められなかった。反復投与毒性について、5.0%までの投与量の範囲内では安全性に懸念を生じさせる特段の毒性影響は認められないと考えられた。また、生体にとって特段問題となるような遺伝毒性はないものと考えられた。

ソルビン酸の NOAEL の最小値は 5.0%(2,500 mg/kg 体重/日)と考えられることから、安全係数を 100 とし、ソルビン酸カルシウム、並びに既に我が国で使用が認められているソルビン酸及びソルビン酸カリウムのグループとして ADI を、ソルビン酸として 25 mg/kg 体重/日と設定した。

ということで、日本の専門機関である「食品安全委員会」は、

ソルビン酸(およびその塩類)には発がん性を認めてはいなかった

 

国際機関などでの評価

続いて、【各種国際機関】での「ソルビン酸」の評価を見ていく。

 

JECFA※1ラットを用いた毒性試験では1日体重1㎏あたり2,500㎎までは与えても影響がなかった
安全に配慮し(念には念を入れ)、影響がないとされる量の、さらに100分の1の量を1日の許容量として設定した。
FDA※2健康被害の心配はない。GRAS (Generally Recognized As Safe≒安全基準に合格している添加物)に登録されており、適正な製造規範を守れば食品への使用は認められる。
EU※3長期的に10%のソルビン酸を与え続けても、マウス・ラットは発がん性を示さなかった
妊娠しているマウス・ラットに、ソルビン酸カリウムの投与を原因とした胎児の奇形の危険もなかった
しかし、ソルビン酸/ソルビン酸カリウムが特定のヒトの集団に過敏性反応、特に接触性蕁麻疹を起こすとの報告がある。

※1)JECFA:国連食料農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同会合
※2)FDA:米国食品医薬品局
※3)EU:欧州連合

 

となっており、EUで蕁麻疹(じんましん)の報告が少数あっているものの、

原因は他の食品添加物かもしれない、というもので「ソルビン酸が原因」と

断定するものではなかった。

上記の機関でも、さほど危険視されていないことがわかる。

 

イヌに対する実験データ

では、イヌに対する実験データはどうか。

①ソルビン酸の反復投与毒性

雌雄のイヌ(各群雄 2 匹、雌 1 匹)にソルビン酸(0、4.0%;0、1,000 mg/kg体重/日 6)を 90 日間混餌投与した試験においては、一般状態、体重、血液中ヘモグロビン濃度、各臓器・組織の組織学的検査結果のいずれにおいても、被験物質投与による毒性影響を認めなかった

②ソルビン酸カリウムの反復投与毒性

イヌ(各群 8 匹、対照群 4 匹、性別不明)にソルビン酸カリウム(0、1.0、2.0%;0、250、500 mg/kg 体重/日 6)を 3 ヶ月間混餌投与した試験においては、被験物質投与による影響を認めなかった

イヌに対するデータでは、いずれも影響は認められない、とのことだった。

 

ソルビン酸と亜硝酸ナトリウム

最後に、ソルビン酸と亜硝酸ナトリウムをあわせて摂取すると発がん性物質が生じる

という噂がある。これについては、以下の文章をあげてみる。

(中略)ソルビン酸と亜硝酸塩の反応生成物は通常の使用状況下とは異なる極めて限られた条件下で生成することに留意する必要がある。

SCF(EUの食品科学委員会)では、ソルビン酸またはソルビン酸カリウムと亜硝酸塩の共存下における遺伝毒性物質の生成に関する試験結果の一部が相互矛盾のために信頼できず、また、通常条件下ではヒトの健康に対するハザードがないとしている。

(※亜硝酸ナトリウムは亜硝酸塩の一種)

 

上記の引用を要約すると、

ソルビン酸と亜硝酸塩をあわせて摂った時に、たしかに発がん性物質が生じるけれど、

極めて限られた条件のもとでないと発生しない

 

SCF(EUの食品科学委員会)の見解としては、ソルビン酸/ソルビン酸カリウムと

亜硝酸塩を一緒に摂取したら有毒物質になる、というのは行われた試験結果の一部が

矛盾していて信頼できない

(→要するに、実験データが信頼できないので、発がん性物質が生じるとも生じないとも

判断できない)

 

普通に考えられる使用方法で使用していれば、ヒトの健康に対する危険はない。

となります。

本頁内全引用:府食第1264号 平成20年11月20日 食品安全委員会「食品健康円強評価の結果の通知について」
(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/11/dl/s1125-8d.pdf)

まとめ

まとめると、

・イヌに対して行われた「ソルビン酸/ソルビン酸カリウム」を用いた実験ではいずれも影響は認められなかった。・日本の専門機関である「食品安全委員会」も、ソルビン酸(およびその塩類)には発がん性を認めてはいない

・ソルビン酸/ソルビン酸カリウムと亜硝酸塩を一緒に摂取したら有毒物質になるが、それは極めて特殊な条件下に限られる。EUの食品科学委員会の見解としては、実験データ自体が信頼できないので、発がん性物質が生じるとも生じないとも判断できない。しかし、普通に考えられる使用方法で使用していれば、ヒトの健康に対する危険はない。

わかりにくいので、さらに、まとめると

・イヌには影響ないよ。

・食品安全委員会「発がん性ないよ」

・ソルビン酸と亜硝酸塩を一緒に摂ると、極めて特殊な条件下でだけだけど、発がん性物質が生じるよ。

・EU「いや、↑のデータは不備があるよ。ソルビン酸と亜硝酸塩を一緒に摂ったらどうなるか、データに不備があるから判断できないよ。」

ということですかね。

 

これについては、さまざまな見解があると思います。

私自身、ソルビン酸は発がん性のある物質だと思っていましたし。

 

それに、ソルビン酸単独の毒性は否定されていますが、

亜硝酸塩と一緒に摂ると発がん性が生じる、

という噂(?)についても、結局、現時点では白黒ハッキリしていません。

 

ということで、以上の見解をふまえ、私の立場として結論を述べるのであれば、

ペットフードに入っていても問題ないが、入っていない方がいい。

ただし、成分表に亜硝酸塩/亜硝酸ナトリウムと一緒に表記されているものは避けるべき。

としたいと思います。

 

【各数値】
◆使用・保存基準:用途によって0.05~3.0g/㎏

厚生省告示第370号 各添加物の使用基準及び保存基準に定められている使用量等の最大限度。

 

◆ADI:0~25㎎/㎏

Acceptable Daily Intakeの略。一日摂取許容量※の意。

※一日摂取許容量……生涯毎日摂取し続けても影響が出ないと考えられる一日あたりの量。

 

◆LD50ラット経口 10,500㎎/㎏

化学物質の急性毒性の指標。マウスなどの動物に投与した場合、
数日でそのうちの半数を死亡させると推定される試験物質の量。
数値が低いほど致死毒性は強い
一般的には1,500㎎/㎏以上で安全とみなされている。