まずは安静時のエネルギー必要量(RER)を求めましょう
生き物というのは、ただ生きているだけでエネルギーを消費しています。
たとえば、眠っている時。
体は眠っていても、脳は活動を続けていますし、呼吸も心臓も止まることなく動き続けていますよね。
『RER』とはResting Energy Requirementの略で、このような安静時における1日あたりのエネルギー要求量のこと、すなわち、1日に必要なエネルギー量を計算する上でのベースとなる数値を指します。

人間の場合だと【椅子に座っている状態】で消費されるエネルギーの総量……ってことは犬の場合は【お座り】? それとも【ふせ】?

……まぁ、細かいことはあまり気にせずに
それでは、実際に、あなたの愛犬のRERを測っていきましょう!
RER計算には【RER=70×(体重(kg))0.75】という公式があるのですが、わかりにくいし、下記の1~5の手順で計算できますので、今回は無視しちゃいましょう。
なお、かける体重は「現在の体重」ではなく「理想の体重」ですよ。
- 理想の体重を3回かける・・・体重×体重×体重=❶
- ❶の数値の平方根を求める・・・√❶=❷
- ❷の数値の平方根を求める・・・√❷=❸
- ❸の数値に70をかける・・・❸×70=❹
- ❹の数値があなたの愛犬の『RER』です。
(例)現在の体重12㎏・理想の体重10㎏の犬の場合
- 理想の体重を3回掛ける・・・10×10×10=1,000
- 1,000の平方根を求める・・・√1,000=31.622……
- 31.622の平方根を求める・・・√31.622=5.623……
- 5.623に70を掛ける・・・5.623×70=393.6……
- 『RER』 ≒ 394kcal
次に愛犬が1日に必要とするカロリー(DER)を計算しましょう
『DER』とはDaily Energy Requirementの略で、以下に記載したさまざまな条件下でのエネルギー要求量になります。
この『DER』の計算方法が、ちょっとくせ者。
計算自体は「超」がつくほど簡単なのですが……。

うーーーーん。説明が難しい
これは、口頭で説明するよりも実際にしていただいた方が早いと思うので、説明なしで少し進めますね。
『DER』の計算は、以下の条件から愛犬に該当するもの選んで『RER』の数値と掛けていただくだけです。
どうぞ条件を確認してみて下さい。
なお、選べる条件は1つだけです。
DER計算式の条件
- 去勢・避妊をしている成犬・・・RER×1.6
- 去勢・避妊をしていない成犬・・・RER×1.4~1.8
- 肥満傾向にある犬・・・RER×1.2~1.4
- 減量したい犬・・・RER×1.0
- 妊娠期(前半42日間)の母犬・・・RER×1.8
- 妊娠期(後半21日間)の母犬・・・RER×3
- 授乳期の母犬・・・RER×4~8(※生んだ子犬の頭数による)
- 離乳期~4カ月齢の犬・・・RER×4
- 4カ月齢~成犬・・・RER×2
- 老齢期(初期)・・・RER×1.4
- 老齢期(後期)・・・初期の増減を観察して調整する。
- 軽い運動・労働・・・RER×2
- 中程度の運動・労働・・・RER×3
- 激しい運動・重労働・・・RER×4~8

みなさん、計算できました?
私は、はじめてこの条件を見たとき、正直計算できませんでした。
だって、該当する条件が1つじゃない。
我が家の愛犬の場合、
- 去勢しているからRER ×1.6?
- でも、肥満傾向にあるからRER×1.2~1.4?
- いや、減量したいからRER×1.0?
- うーん、老齢期(初期)だからRER×1.4?

でも、選択できる条件は1つだし……。
ということで、さんざん悩んだあげく、以下の【YesNoチャート】を作成してみました。
※2020.7.4一部修正
※2 使役犬:猟犬・盲導犬・介助犬など、人間のために働いてくれている犬のこと。
選択できる条件は1つなので、おそらくこのチャートの考え方で間違ってはいないはず。
ですが、このような表を作成している人は一人もおらず。
もし、上記の表で「ここおかしくない?」という箇所があればご教示いただけますと大変助かります。
最後にフードの量を調整しましょう
それでは、最後にあなたの愛犬に適切なフードの量を調べましょう。
ドッグフードの外装(パッケージ)のどこかに記載してあるはずですので、現在、愛犬に与えているフードのカロリーを調べてみてください。
- フードのカロリー(100gあたり❶kcal)を調べる。
- 上記の計算式で算出した【RERの数値❷】に、上記のYesNoチャートで導きだされた条件の値をかけて【DER】を求める。【RERの数値❷】×条件の値=【DERの数値❸】
- 【DERの数値❸】÷❶kcal=❹g
- ❹の数値があなたの愛犬の適切なフードの量(g)です。
【例】太朗くん、男の子、8歳の場合
- フードのカロリー:【300kcal❶】/100g
- 【RER】の値は【394❷】。
この犬さんの場合、【DER】にかけるべき値は
「start:生後4か月以上」
→ 「重篤・安静時に該当しない」
→ 「去勢済み」
→ 「肥満傾向にはない」
→ 「使役犬ではない」
⇨ 【RER×1.6】 - よって【DER】は【394❷】×1.6=【630.4❸】
- 【630.4❸】÷300kcal❶】=【2.10…❹】
適切なフードの量は【210g❹】となる
まとめ
あなたの愛犬に適切なフードの量はわかりましたか。
このエネルギー要求量の中には、もちろんおやつなどのカロリーも含まれます。
おやつなどをあげた場合には、その分のカロリーをきちんと考慮するようにしてくださいね。
なお、この適切なフードの量は家族の誰かだけが知っているだけでは意味がありません。
おやつやごはんのダブりがないよう、情報は家族みんなで共有するようにしましょう。
【愛犬管理ノート】の記載事項については、これで終わりになります。
チェック項目が多くて大変だったと思います。

いやはや、お疲れさまでした

お茶でん飲んで、休憩してはいよ
ここでまとめたことは、愛犬にもしものことがあったときに便利なだけではなく、家族の側に何か問題があって、誰かに愛犬のお世話をお願いしなくてはいけないときなどにも役立ちます。
定期的に更新して、つねに最新情報のものをお手元に置いておかれると、いざというときにも安心ですね。
最後までお付き合い、ありがとうございました('v')
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